「百合はさ」感想 第六話

眩しい人

相川が初めて片桐に出会ったときのことが描かれています。

(若干一方的な出会いなのでこんな書き方になっています)

あと彼氏いい奴っぽいかもってとこが描かれています。

なんか付き合ってる内容が闇深そうな感じ。

音楽について悩んでいるからこそ

音楽と縁遠い相手からしか得られないヒントがあるのだと思います。

どこか特別になり切れない自覚と劣等感が、その立ち位置によって別の希望へと姿を変えます。

じゃあ色んな姿見せてもらってる俺は

いい立場ってことですか

でもそれはある意味、音楽に情熱を注いでいる相手への感情の裏返しにも見えます。

片桐にはこんな姿

見せられないし

見せられる『特別』と見せられない『特別』。

どちらもあってようやくバランスを取れているところなのかもしれません。

そして時間軸は相川の編入直前へ。

相川の、音楽一家に生まれた事による苦しみが胸を締め付けます。

音楽が生活の中にあって当たり前

音楽の道を選んで当たり前

音楽のプロを目指して当たり前

相川自身音楽が好きだし、その当たり前に対して疑問は必要なかった。

好きだった、はずだった。

運命のミスマッチで、自分の音楽に対する気持ちが霞みがかってしまう。

人生のかなり大きな部分を費やしたであろう音楽への愛が揺らいでしまって

かなり不安定な状態であっただろうと思う。

そして親からの愛も、音楽というフィルターがあってのものなのではと疑ってしまったのではないでしょうか。

音楽があって当たり前の家庭と人生において、その音楽への想いが揺らいでしまった時に

音楽を通しての親の愛情は最悪のタイミングだったと思います。

ただこの時のお母さんのプレゼントは、ただただ素直に頑張る娘への愛情だったとは思います。

表情や言葉遣い、編入の理由など少なくとも『相川の為を想って』が感じられます。

ただ外の世界で戦うプロなので、思春期の娘の心の機微には疎かったのかも知れません。

相川が揺れる気持ちを抱えながら反発しなかったのは、親の愛そのものは感じていたからなのだと思います。

しかし音楽への気持ちと、音楽の道を進んできた自分の地盤が崩れかけていた時

愛情の注ぎ方としては最悪のタイミングと手段だったのかもしれません。

これもまたほんの少しのミスマッチですね。

そこへヒロイン片桐の登場です。

部活でも自分は邪魔になりそうだった。

音楽に人生を懸けられないかもしれなくなったいまでは

家庭ですら自分の居場所は無いかも知れない。

音楽が苦しい、でも音楽から離れられない。

そんな苦しみで塞がった相川の心を、たった一音のトランペットが晴らしてくれます。

芯のあるいい音

少なくとも一瞬、確かに心が晴れた相川は音の主を探します。

レベルの高い音、そして先生の紹介から片桐の音楽に対する『好き』が伝わります。

この描写はどこかの虎を彷彿とさせますね(筆者だけでしょうか?)

己の毛皮の濡れたのは、夜露のためばかりではない。

さしずめ

『彼女を眩しくて見れなかったのは、逆光のためばかりではない』

ってところでしょうか。

真っすぐにただただ音楽を好きで選んだ(ように見える)片桐に近づくことで

自分の音楽への気持ちの揺らぎが変わるかもしれない。

不純な理由で彼女に近づいた

と相川自身は思っていますが、おっさんは全然不純じゃないと思いますよ。

人に頼るとか縋るとかとっても大切なことだと思うし(自分のキャパ内のことでも頼るのは違うと思うけど)

人に近づく理由って回りまわって自分のためだったりするし。

あくまで片桐を利用しようとかではなくて、近くに居れば今のモヤモヤを晴らす

なにかヒントが得られるかも知れないと思ってのことだと思います。

全然清純だよ~そんなん。

しかしこの一話で

相川の音楽に対する深く複雑な過去と悩み

それを打破する光明となる『音楽を愛する人』と『音楽に縁遠い人』の対比が描かれていて

ずっしり読み応えがあります。

そしてかなりはっきりと『相川の目線』で描かれていて

相川に何があったのか、どう片桐と出会ったのか、

そして片桐のことをどう見ているのかが深堀りされています。

この二人、お互いに相手を『少し前を歩いている人』の様に思って

かつ『自分を新たな世界へ引っ張っていってくれる人』として見てるんでしょうね。

尊いですとっても。

青春の決着

がどうなるか、この先の二人が楽しみでなりません。

ってか今はアオハルとか言うんだっけ?

先生のお声

相川は片桐がいたから吹部に入部したんですね~へぇ~~

そうだったんですねぇ

吹部やってたから自然に吹部に入ってそこで出会ったんじゃなくて

相川が一方的に片桐を知ってから、入部したんですねぇ。へ~~

皆さんのお声

やはり経験者さんからのお声が毎回あって、素人なりに知識が増えて楽しいです。

ちゃんと吹奏楽を描くってことは物語に深みを持たせつつも

全くの素人のハードルを上げかねない部分も孕んでいます。

でも蓬餅先生の構成力(っていうのかな?)の匙加減が本格かつ親しみやすくて

いろんな情報がㇲッと入ってきます。

それに加えて応援コメントで色んな人がそれぞれの注釈を加えてくれるもんだから

語彙も知識も広がる広がる。より深く楽しめます。

今回の新しい知識は、木管は室内がいいけど金管は外でもオッケーとのこと。

そして屋上でのトランペットで、某炭鉱見習いの朝の風景を思い起こすお声がいくつか。

聞いてても気持ちいいけど、吹く方も爽快なんでしょうね。

そして心理描写への称賛。

本当に凄いですよね。

相川に対する周りの言動

相川の心に残った言葉たち

そして相川の心の声

どれもが洗練されていて、また差し込み方が絶妙なんでめっちゃ刺さるんです。

おっさん刺さり過ぎて瞳孔ぼやけちゃいました。

そして片桐の目線から相川の目線にシフトして

今回で『お互いがお互いを救いだと思っている』構図が判ってきました。

そして『誰よその男』が、ただの『〇ねばいい男』じゃないっぽい。

さてどうなることやら。三角関係……なのか……?

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