「百合はさ」感想 第七話

新しい風音

個人的にこの話までで序章が一段落なのかなと思いました。

二人の関係を描きながら

片桐が相川をどう思っているか

相川が片桐をどう思っているか

がもの凄く丁寧に描写されています。

時間軸が前後したここまでの話を

視点を変えて何度も描いているので

『この時こうだったんだ』

が発見できて2周3周と見方がどんどん変わっていきます。

蓬餅先生の手腕というか、これを構成力というのか

心理描写に立体感があってめっちゃ引き込まれます。

第2話の朝練での初めての出会い。

いかにもな陽キャギャルがぐいぐい話しかけてくる。

最初は穿った見方をしていた堅物も

プレイや言動から音楽への愛情があると判り

彼女は自分にとって唯一の人になると感じるようになった

とても重要なシーンです。

一方その頃相川は

初めて話した朝練では

何を話したかも覚えていない

自分のことばかり考えていたから。

距離を縮めようとして雑に握手はした

必死だったんかーーーい

でも口をついて出た言葉って本心ですよね。

未だ短い人生ながらもその多くを音楽に捧げてきた。

その音楽への愛と矜持が揺らいできてしまった。

そこに自分よりも真っすぐに音楽を愛する人に出会ってしまった。

自分にとって音楽とはなんだったのか。

この人の近くに居ればその靄が晴れるかも知れない。

自分の為に、自分の人生を取り戻すために。

そんな利己的(と本人は思っている)な思惑とは裏腹に

考えずに場を取り繕うように出た言葉は

自分がずっと抱いていた音楽への愛情そのものだった。

いい演奏をしたい。様々な役割のパートが重なり合うのが楽しい。

それぞれが一つになっていい演奏になるのがめっちゃ好き。

その自覚の無い言動に

実は相手は救われて、ヒリついて、自分の小さな世界を壊してもらってたんですね。

これめっちゃ素敵なすれ違いじゃないですか?

その時の片桐

相川が 私の矮小さに気付いての行動だったのか

今でも 分からない

どうやら違うようですよ千早ちゃん。

この二人お互いに『相手は光、自分は陰』だと思ってるんですよね。

片桐は自分より広い世界で高い視点で鋭い眼差しで音楽を見つめる相川に対し

自分の小ささが恥ずかしくなってしまった。

相川は自分より遥かに多い選択肢の中から選んだ音楽を愛する片桐を

眩しくて見つめることが出来なかった。

2人とも『自分がズレてるかも』と思いつつ

お互いの評価は『純粋に音楽を愛している』なんですよね。

素敵なすれ違い(2回目)ですよね。

そこから2人で高め合って幸せになって欲しいですよね。

といったところで不穏な引きで急転直下。

講師先生何を言ったの?

先生のお声

最後に出てきた黒い女の人は3話で相川を廊下で呼び止めたり、6話の最初に登場した吹奏楽講師です

先生めっちゃ優しいやん。

この作者コメント欄の位置づけってなんなんでしょうね。

読者目線で代弁してくれたり

解説をしてストーリーの繋がりを助けてくれたり

もはやこれ込みで『百合はさ』ですよね。

皆さんのお声

片桐と相川の関係性に一段落回だと思ってたんですけど、

最初の後輩ちゃんと最後の講師さんに持ってかれた感ありますね。

後輩ちゃん、悪態ついてるけどちょっとそれだけじゃない感が透けて見えますね。

また深堀りされたら今回の登場も含めて感想を連ねたいと思います。

講師さん凄いドライな人なのかな?

相川の中学校の時の先生(?)みたいじゃないことだけ祈ります。

悪い人ではなさそうですけどね。

鳳凰が舞う〜印象、京都 石庭 金閣寺 / 真島 俊夫

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